地球環境に重大な影響をもたらす地球温暖化は、どんなしくみで起こるのでしょうか?
ポイント
地球温暖化は、宇宙に逃げていくはずだった赤外線の多くが熱として大気にたまってしまい、再び戻ってきて地球の表面を暖めることによって起きています。
参考:全国地球温暖化防止活動推進センター(JCCCA)ウェブサイト
深刻な地球温暖化。それはどんな仕組みで起きているのでしょうか。
たとえばみんながいつも勉強している教室が暑くなったら、窓を開けて涼しい風を入れますよね。もしその窓を閉めたままでいたらどうなりますか? たちまち教室の中は暑くなっていきますよね。じつは地球温暖化もそれと同じような仕組みで起きているのです。地球の大気にはCO2(二酸化炭素)という「温室効果ガス」が含まれています。このCO2は熱を逃さない性質をもっていて、太陽からの暖かい熱を適度に保つことで、地球の気温をちょうどいいものにしていました。もしこのCO2がなかったら太陽からの熱が全部逃げてしまって地球は冷え切ってしまい、生き物が暮らせなくなってしまいます。つまりCO2とは、みんなが夜寝るときに掛けている掛け布団のような役目をしているのです。
ところが近年になって、このCO2が増えすぎて、宇宙に逃げていくはずだった赤外線の多くが熱として大気にたまってしまい、再び戻ってきて地球の表面を暖めているのです。たとえるならば、暑くて寝苦しいのに、さらに掛け布団を掛けているような状態が地球温暖化なのですね。
下の図を見てください。これは温室ガス観測技術衛星「いぶき」が世界のCO2の分布を観測したものです。この約10年間でCO2が増えていることがよくわかります。では、なぜこんなにCO2が増え続けているのでしょうか。
●温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」が観測した世界のCO2濃度分布
Copyright: JAXA/NIES/MOE
今から約200年前にわたしたち人間の暮らしは大きく変わっていきました。簡単な道具を使ってものをつくっていた時代から、化石燃料を燃やして動く機械を使って、ものを大量につくる時代へと変わっていったのです。これを産業革命といいます。
その後電気をつくるために火力発電所などで、さらにたくさんの化石燃料が燃やされるようになりました。
今では、みんなが暮らしている社会に電気は欠かせないものになっていますが、それは地球温暖化を起こすといわれているCO2をたくさん出してしまう社会でもあるのです。
また、自然の森の木は光合成によってCO2を吸収してくれるありがたい働きがありますが、世界では森林の多くの木が産業のために切り倒されて森林が減っています。これもまた、CO2が増える原因になっているのです。